東京高等裁判所 平成3年(ネ)2057号 判決 1992年11月18日
静岡県浜松市吉野東町二七五番地
控訴人
有限会社大和製作所
右代表者代表取締役
匂坂英男
静岡県引佐郡細江町気賀三三二九番地
控訴人
白柳伊佐雄
右両名訴訟代理人弁護士
浦野信一郎
静岡市中島七六九番地の一
被控訴人
タイヨー産業株式会社
右代表者代表取締役
岩本康男
右訴訟代理人弁護士
加藤静富
同
野末寿一
主文
本件控訴を棄却する。
控訴人らの当審における予備的請求を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第一 当事者が求めた裁判
一 控訴人ら
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人らに対し、金五九八五万円及びこれに対する平成元年一〇月九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。
4 仮執行の宣言。
二 被控訴人
主文同旨
第二 事案の概要
一 当事者間に争いのない事実
以下のとおり削除・付加するほか、原判決の「第二 事案の概要」の「一 争いのない事実」の記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決五枚目表五行目の「。」を削る。
2 同五枚目表七行目の次に、行を改めて以下のとおり加える。
「6 被控訴人使用の図柄について
被控訴人は、旧製品の製造販売をやめて後記新製品の製造販売しかしなくなったと主張する後記時期以後も、自己の製品の包装箱に表示する図柄として本判決添付別紙2のとおりのものを使用してきており、この図柄は、旧製品の包装箱に表示していたものと同じものである(以下、この図柄を「被控訴人図柄」という。)。」
二 訴訟物及び争点(当事者の主張の概要)
1 控訴人ら
(一) 特許権侵害に基づく請求(主位的請求)
(1) 被控訴人は、本件特許が出願公告になった昭和六〇年二月九日以降も旧製品の製造販売をやめず、平成元年一〇月九日(本訴提起の日)までこれを継続した。
(2) 被控訴人が昭和六〇年二月九日から平成元年一〇月九日までの間に製造販売した旧製品は一〇万五〇〇〇台(月平均一八七五台)であり、その間の平均価格は一台三八〇〇円、利益率は一五%であったから、被控訴人は、この間に、旧製品の製造販売により五九八五万円の利益を得た。
(3) そこで、控訴人らは、被控訴人に対し、前記期間内に被控訴人が旧製品の製造販売により得た利益の額を、昭和六〇年二月九日から同年一〇月三〇日までについては特許法五二条一項、二項、一〇二条一項に基づき、同年同月三一日から平成元年一〇月九日までについては同法一〇二条一項に基づき、自己の受けた損害の額として、損害賠償金五九八五万円及びこれに対する被控訴人の上記継続的不法行為の最後の日である平成元年一〇月九日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(二) 不正競争防止法に基づく請求(当審における予備的請求)
仮に被控訴人が前記期間内に旧製品を製造販売していないとしても、控訴人らは、被控訴人に対し、以下のとおり不正競争防止法に基づき損害賠償請求権を有するから、これを行使する。
(1) 本件特許の実施品である折畳みふとん干し具の機能を示す特徴的な図柄は、本判決添付別紙1のとおりであり、二本の管材からなる主柱Aとその主柱Aに支えられた四枚の四角い枠体Bを有し、その四枚の枠体Bが十字形に展開してその上にふとんを干すようになっていて、主柱Aを正面に向け、四枚の枠体BをX形に配置した形態として示されている(以下、この図柄を「控訴人図柄」という。)。
(2) 被控訴人図柄は、控訴人図柄と酷似している。すなわち、被控訴人図柄も、二本の管材からなる主柱Aとその主柱Aに支えられた四枚の四角い枠体Bを有し、その四枚の枠体Bが十字形に展開してその上にふとんを干すようになっていて、主柱Aを正面に向け、四枚の枠体BをX形に配置した形態として示されている。もっとも、前方の枠体二枚が、控訴人図柄においては後方の二枚より大きく表示されているのに対し、被控訴人図柄においては後方の二枚より小さく表示されている点で両者に相違があるが、この相違は、市場で購入する者にとっては意識の対象にならない程度のものにすぎない。
(3) 被控訴人は、昭和五八年から平成元年一〇月九日までの間、本件図柄を付した包装箱に新製品を入れて、これを販売した。
(4) 被控訴人の右行為は、不正競争防止法一条一項五号にいう「商品若ハ其ノ広告ニ其ノ商品ノ品質、内容・・・ニ付誤認を生ゼシムル表示ヲ為シ又ハ之ヲ表示シタル商品ヲ販売・・・スル行為」に該当する。そして、被控訴人が右行為をなすについては、故意又は過失があった。
(5) 被控訴人の右行為により、控訴人らは、被控訴人の後記新製品の「品質・内容」が本件特許の実施品のそれと同一であるものと誤認され、その結果、本件特許の実施品である製品についても、その「品質・内容」は被控訴人の新製品と同一であって控訴人図柄に示されるものと異なるのではないかとの疑念が生じ、本件特許技術に対する信用という営業上の利益を著しく害された。
(6) 控訴人らは、被控訴人の右行為により、被控訴人がこれによって得た利益の額に相当する損害を被った。
(7) 被控訴人が前期期間内に本件図柄を付した包装箱で販売した新製品は一六万七八八八台であり、平均販売価格は三八〇〇円、利益率は一五%であるから、被控訴人が右期間内に得た利益は九五六九万円である。
(8) そこで、控訴人らは、被控訴人に対し、損害賠償金として右額の一部である五九八五万円及びこれに対する被控訴人の上記継続的不法行為の最後の日である平成元年一〇月九日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2 被控訴人
(一) 特許権侵害について
被控訴人は、控訴人らの主張する期間内に旧製品を製造販売したことはない。すなわち、被控訴人は、旧製品に対し、連結金具と枠体との連結構造を心金に枠体を嵌め込むものから要め金具を用いるものに変えることを主とする改良を加え、この要め金具について昭和五七年八月一九日に実用新案登録出願をしたうえ、昭和五八年初めころ、要め金具を具備した改良品である製品(その構造は、原判決添付「被控訴人新製品」図面及び写真のとおりである。以下「新製品」という。)の製造販売を開始し、間もなく旧製品の製造販売は全面的にやめ、それ以降は新製品だけを製造販売して今日に至っている。
(二) 不正競争防止法違反について
(1) 控訴人図柄を見ても、本件特許の機能に係る構成、例えば、本件特許の特許請求の範囲にある「上連結金具の上面及び下連結金具の下面に比較的短小の上下一対の心金を突設する・・・」というような構成をそこから見取ることはできない。したがって、控訴人図柄をもって、本件特許の実施品である折り畳みふとん干し具の機能を示す特徴的な図柄であるとする控訴人らの主張は成り立たない。
(2) 被控訴人図柄も、いわば一種の飾りとして商品の概形を示すだけで、商品に関する詳細な構造を消費者に知らせるような詳細な図面ではなく、このような図柄から商品の詳細な構造を知ろうとする消費者はいない。被控訴人は、一方で被控訴人図柄がこのように商品の概形を示すだけのものにすぎず、他方、旧製品と新製品とは被控訴人図柄で示される概形として見れば同じであることから、商品が新製品になっても図柄を変更する必要はないと判断して、新製品に対してもこれを使用することにしたのである。
第三 証拠
原審及び当審記録中の各書証目録及び各証人等目録の記載を引用する。
第四 当裁判所の判断
一 特許権侵害に基づく主位的請求について
当裁判所も、被控訴人が控訴人ら主張の期間内に旧製品を製造販売したと認めることはできないと判断する。その理由は、以下のとおり削除・訂正・付加するほか、原判決の「第三 争点に対する判断」の一及び二のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決(以下、原判決を略し枚数のみで表示する。)七枚目裏四行目の「。」を削り、同五行目冒頭から七行目末尾までを「控訴人らは、控訴人有限会社大和製作所代表者匂坂英男(以下「控訴人代表者匂坂」という。)及び控訴人白柳伊佐雄(以下「控訴人白柳」という。)が、本件特許権の侵害について調査した結果であるとして、以下のような証拠を提出した。」と、同一〇行目の「干し」を「干し具」と各改める。
2 八枚目表一行目から二行目にかけての「とその写真がある。」を「並びに当該ふとん干し具及びそれが入っていたとされる包装箱の各写真」と改め、同四行目の「四三、」を削り、同七、九、一一行目の各「干し」をいずれも「干し具」と改める。
3 八枚目裏一行目の「とその写真がある。」を「及び当該外箱(包装箱)とされる箱の写真」と改め、同二行目から三行目にかけての「三七の一ないし四、三八の一ないし四、四三、」を削り、同五行目の「浜松市」の前に「「平成二年六月八日、」を加え、同六行目の「干し」を「干し具」と、同九行目の「が存在する。」を「及びそのとき右藤某から示されたものとされるふとん干し具の写真」と各改める。
4 九枚目表六行目の「回答があった。」を「回答があった旨の供述及び陳述書並びに当該調査依頼書及び当該回答書」と改め、同七行目の「三九」の次に「控訴人白柳第一回」を加え、同末行の「原告」から同裏七行目末尾までを、次のとおりに改める。
「控訴人有限会社大和製作所が、被控訴人に対し、昭和六〇年四月一〇日発信の内容証明郵便で、本件特許が出願公告されたことを伝えたうえ、被控訴人が製造販売しているふとん干し具は本件特許の技術的範囲に属するので、被控訴人におけるその製造販売の時期・数量・価格とこの問題についての被控訴人の対応を知らせてほしい旨求めたところ、被控訴人は、これに対し、新製品を製造販売していることには全く触れずに、本件特許には無効事由があるから同控訴人の対応によっては無効審判の請求をする旨の回答をした。」
5 一〇枚目表三行目の「原告ら」から同末行末尾までを「被控訴人代表者自身、控訴人らの主張する期間内に現に旧製品を製造販売してることを認めていたかのようであり、2の各証拠が採用できるものであれば、実際にも控訴人ら主張の期間内に旧製品が市場に出回っていたことになり、3からは、被控訴人がその主張のように昭和五八年初めころから後は旧製品を全く製造販売していないのであれば、あえて無効審判の請求や審決取消訴訟の提起までする必要もないのではないか、被控訴人主張は不自然ではないか、との疑問が生じるところである。」と改める。
6 一〇枚目裏六行目の「干し」を「干し具」と改める。
7 一一枚目裏三行目及び同末行の各「被告代表者」を「原審における被控訴人代表者」と改める。
8 一二枚目表一行目の「新製品」から同四行目の「しており、」までを、次のとおりに改める。
「被控訴人代表者は、昭和四六年ころ、当時勤務していた訴外岩本プレス工業株式会社において、三枚の枠体からなる折り畳みふとん干し具をこの業界で初めて開発し、これにつき同年一二月一八日に意匠登録出願をし、昭和四七年一二月二七日前示登録第三六〇六三九号意匠権の設定登録を受けた。同意匠に係るふとん干し具は、枠体が三枚である点で旧製品と異なるが、略四辺形の枠体数枚を主柱の上下に設けた連結金具に回動自在に取り付けるというその基本的構造は同じである。被控訴人代表者は、右訴外会社において、昭和四七年以降、右ふとん干し具の製造販売に携わってきたが、昭和五〇年八月に独立して被控訴人会社を設立し、以後、右ふとん干し具(T-3型)をはじめ、旧製品(T-4型、T-5型)等を製造販売してきた。
そして、新製品は、旧製品が連結金具と枠体との連結構造を心金に枠体を嵌め込むものとしていたのを、要め金具を用いるものに変えることを主とする変更を加えたものであり、この要め金具については、被控訴人代表者が昭和五八年八月一九日に実用新案登録出願をした。」
同七行目の「いるが、」の次に「被控訴人代表者は、右開発の経緯から、新製品は旧製品の一部を改良したものにすぎず、新たに開発した商品とは考えていなかったため、」を、同末行の「乙一」の前に「甲一三、一四」を各加え、同行の「被告代表者」を「原審及び当審における被控訴人代表者」と改める。
9 一二枚目裏七行目の「信用することができるから、」を「必ずしも不自然なものであるとすることはできず、特に、被控訴人代表者が右開発の経緯から新製品は旧製品を改良したものであって新たに開発したものではないと考えていたことに照らせば、むしろ自然なこととして十分理解できることであり、したがって、」と改め、同末行の「。」を削る。
10 一三枚目表四行目の「同時に」から同七行目末尾までを「これを裏付ける領収書、証明書等はなく、その仕入先や仕入時期については明らかにされておらず、このような控訴人代表者の供述から、被控訴人が旧製品を本件特許の出願公告の後に製造販売したことを推認することはできない。」と、同一〇行目の「同人」から同裏三行目の「おらず、」までを「同控訴人本人尋問の結果(第一回)によれば同控訴人はいずれの場合も箱の中身は確認していないことが認められるのであり、このことに、前記のとおり被控訴人は新製品の製造販売開始後も商品名や包装箱を変更していないことを併せて考えれば、」と各改める。
11 一三枚目裏五行目末尾の後に、次のとおり加える。
「平成二年五月二四日といえば、本訴提起後七箇月ばかりのときで、被控訴人が控訴人ら主張の期間内に旧製品の製造販売をしたとの事実を否認する態度を明確にした後であり(これらのことは、記録上明らかである。)、このような時期に、本訴を提起した同控訴人が、旧製品が入っているかもしれない包装箱の状態を日付の見える新聞とともに写真にして残すことまでしておきながら(甲一〇の三)、その中身が旧製品であるかどうかを確認しないままに終わるというのも、見方によれば極めて不自然なことであり(控訴人白柳は、原審における第一回本人尋問で、箱の中身は封を切ると買わなければならないので確かめなかったと供述しているが、この供述自体、本件訴訟の内容と商品の価格とに照らして、不自然であるとの感を否めない。)、この点からしても、控訴人ら主張の右事実を旧製品販売の事実を認定する根拠とすることはできない。」
12 一四枚目表三行目の「甲二一」から同七行目末尾までを「控訴人らの依頼の趣旨が関西地区における新製品の販売開始時期等についてであったことから、その回答の内容も旧製品については触れていないことが認められ(甲二一の一・二)、これをもって、被控訴人による旧製品の製造販売の事実を明らかにするものであるとすることはできない。」と改め、同八行目の「。」を削る。
13 一四枚目裏二行目の「昭和五八年」の次に「初めころ」を加え、同三行目の「不自然とはいえない。」の次に、行を改めて次のとおり加える。
「三 他方、昭和五八年初め新製品の製造販売を始め、間もなく旧製品の製造販売は全面的にやめたとの被控訴人の主張については、被控訴人代表者が、原審及び当審における代表者尋問の際に、かなり具体的にこれに沿う供述をしており、その供述内容の主たる点は、被控訴人代表者が新製品の特徴となる要め金具につき昭和五八年八月一九日に実用新案登録出願をし(乙一)、それから間もなく新製品用の金型の設計をして発注し、金型を取得したこと(乙一〇、一一)、右金型を取得した後、訴外光和ダイカスト株式会社に下請けとして要め金具を製造させるようになり、旧製品の連結金具を製造させていた訴外八木プレス工業所からの同金具の仕入れは、訴外光和ダイカスト株式会社からの要め金具の仕入れが始まって間もなく行われなくなったこと(乙一二)によって裏付けられている。
これらの書証のうち、乙第一号証はその性質上信用性に疑問の余地のないものであり、他のものは、いずれも被控訴人作成の書面であるが、これらの証拠の信用性を失わせるに足りる資料は本件全証拠を検討しても見出せない。そうとすると、被控訴人の前記供述を信用性のないものとして排斥することはできない。
四 以上の検討を踏まえて見れば、もともと、控訴人らの主張する被控訴人の特許権侵害行為は、四年八箇月にわたる相当な数量の旧製品の製造販売行為であり、この中には、もちろん、被控訴人側のいわば内部の事柄として控訴人らにとって把握しにくい事実も含まれていることは否定できないものの、相当な期間にわたる相当な数量の製品の製造販売という行為そのものの性質に照らし、被控訴人が自己の製品につき出所を不明確にするような手段を講じたなどの特段の事情が存在しない限り(このような事情の存在を認めさせる証拠はない。)、その中の相当の部分は、外部の者である控訴人らにとっても、通常の努力により確実に把握することがそれほど困難であるとはいえないところ、この間に被控訴人が旧製品を製造販売したことについては、本件証拠上、その一台についても確実な形で具体的に明らかにされなかったのであり、他方、被控訴人が昭和五八年初め以降新製品の製造販売を始め旧製品の製造販売をやめたことについての証拠の信用性を失わしめる資料は特に見出せないのである。そうであれば、控訴人ら主張の期間内に被控訴人が旧製品を製造販売したとの事実を認めることはできないといわざるをえない。
五 以上の次第で、被控訴人が控訴人らの主張する期間内に旧製品を製造販売したことを認めることはできないから、特許権侵害を理由とする控訴人の請求は、その余について論ずるまでもなく、理由がない。」
二 不正競争防止法に基づく予備的請求ついて
1 控訴人らは、被控訴人図柄は、本件特許の実施品である折り畳みふとん干し具の機能を示す特徴的図柄である控訴人図柄と酷似する旨主張する。
しかし、本件特許の出願前すでに被控訴人代表者が開発し、これに基づき訴外岩本プレス工業株式会社、次いで被控訴人が製造販売していたふとん干し具に見られる構造と対比すれば、本件特許の特徴は、その特許請求の範囲に記載された構成、特に連結金具と枠体との連結構造を連結金具に設けられた主心金と補助心金に枠体を嵌め込むものとした点にあることが明らかであり(甲三、一三、一四、乙一ないし九)、この連結構造を、被控訴人代表者が考案し実用新案登録出願した要め金具による連結構造とすることによって失われる程度のものである(新製品が本件特許権を侵害しないものであることは、当事者間に争いがない。)。そして、この要め金具による連結構造も、枠体の枚数に応じた数の管状枢体を横に連結した上下の要め金具で枠体を連結するものであって、完成した干し具の形態において、本件特許の実施品と近似した形態となることが認められる(甲三、乙一)。
このことを前提にして控訴人図柄を見れば、それが、本件特許の技術的範囲に属するふとん干し具とそうでないものとを識別できる程度に正確なものということができないことは自ずと明らかである。したがってまた、控訴人図柄と酷似すると控訴人らが主張する被控訴人図柄においても、本件特許の特徴が、その技術的範囲に属さないものと明白に区別できる程度に示されているとは、到底認めることができない。
2 右に述べたとおり、被控訴人図柄が本件特許の機能の特徴を示すと認めることはできないから、これが認められることを前提としてのみ成立する不正競争防止法に基づく控訴人らの予備的請求は、その余について論ずるまでもなく、理由がない。
三 結論
以上のとおりであって、控訴人らの本訴各請求は、いずれも理由がなく失当として棄却すべきであり、主位的請求につきこれと同旨の原判決は相当であって、本件控訴は理由がない。
よって、本件控訴を棄却し、控訴人らの当審における予備的請求を棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 山下和明 裁判官 三代川俊一郎)
別紙1
<省略>
別紙2
<省略>